酵母の種類

1.酵母(yeast)
 酵母という呼名はもともと学問的な分類によるものではなく、糖分を含む果汁などが発酵し、アルコールと二酸化炭素を生じる際に液面にできた膜、あるいは沈さの呼び名でした。19世紀になってようやくこの反応を進める微生物の研究が進み、一般に比較的単細胞の栄養体世代が長い下等な真核生物の一群をまとめて酵母と呼ぶことになりました。
2.清酒酵母
 日本での清酒酵母の研究は、明治28年に清酒もろみから清酒酵母が分離され、Saccharomyces.sake として報告されたのが始まりです。その後、明治37年に醸造試験所が設立され、酵母や麹菌が研究されだし灘や伏見などの酒造場から酵母をたくさん分離して、優良酵母を選択し、純粋培養の酵母を全国の酒造場に頒布し始めました。これが協会酵母です。今までに1号から15号までと数株の泡なし酵母が実用化されてきました。
下記に協会酵母の特徴を表にしています。
酵母名 分離源 特 徴
協会1号 桜正宗酒母
濃醇強健、低温発酵
協会2号 月桂冠新酒
くい切りよく濃い酒
協会3号 酔心      
協会4号 酒母        
協会5号 酒母
果実様芳香
協会6号 新政酒造場
発酵力強、まろやか、香りやや低い
協会7号 眞澄酒造場
芳香、発酵強。近代清酒のスタンダード
協会8号 6号変異株
やや高温発酵、多酸、濃醇
協会9号 熊本県酒造研
芳香、吟醸酒向
協会10号 東北地方もろみ
低温酵母、酸少ない (小川酵母)
協会11号 アルコール耐性株      
協会12号 浦霞酒造場
芳香、吟醸酒向
協会13号 交配株
9号×10号
協会14号 金沢酵母
酸少ない、ソフトな吟醸酒向
協会15号 秋田流花酵母
香り高く、後味軽い吟醸酒向き
601号 6号変異株
6号泡なし
701号 7号変異株
7号泡なし
901号 9号変異株
9号泡なし
1001号 10号変異株
10号泡なし
Karg-9 9号変異株
尿素を生成しない9号
リンゴ゙酸多酸性酵母 No.28
リンゴ酸多生産、ブレンド、長期熟成用
多酸芳香酵母 No.77
リンゴ酸、カプロン酸エチル生成、ブレンド用
少酸性酵母 No.86
カプロン酸エチル生成、純米酒向